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2008年6月19日 (木)

白い花

017

海の見える道は、いつの間にか山の中に向かっていました

繁った草を踏んで、まっすぐに前を見て歩き続けていました

考え事をしていた僧形の男は、顔も擦り切れそうな野の仏の前を通り過ぎたが

しばらくして戻ってきた、陽にやけた手で咲いていた野の白い花を手折り

竹筒に挿して、お経をあげた後、力強い足取りで再び歩き出しました

白い花だけが風に揺れて男を見送っていました。

019_2 何日かが過ぎ、小さな村を通りかかった男に犬が吼えかかり

飛びかかってきます、野宿を続けている墨染め衣は汚れ、日に焼けた顔は埃だらけです

吼えていた犬もついてこなくなった頃に、村はずれの草原に出ました

大きく息を吐き、あたりを見回した男は、苦笑いをしたのを見ました

021_2 ここは男が若い頃、頭の上に落ちてくるほどの大きな月の下で

夜通し座禅を組んでいた場所によく似ています

ボロを着てあの町この町を歩きつづいているうちに

いつの間にか思い出のある景色を探していたのでしょう、知らないうちに

懐かしい景色に近づいていたのです

022 また何日かが過ぎ、遠くに荒れてはいますが、懐かしい

あの寺が見えてきました、

足は自然にそちらに向いて進んでいました

お寺に向かったのか、再びさすらいの旅に出たのかはまだわかってはいません

今日までにわかったのはここまでです 

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あの人は(托鉢僧)」カテゴリの記事

コメント

さまようて さまようて知る 懐かしさ

投稿: 森のどんぐり屋 | 2008年6月20日 (金) 18時34分

camera森のどんぐり屋さん

帰れないふるさと行きの列車を見送る

いつか乗せてあげましょう

投稿: 房州や | 2008年6月22日 (日) 17時55分

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